輝く鬼は奇しく笑う

妖しく怪しく奇しく

RPG

 

あの頃は良かったなぁ。そんなことを思うようになった。外で遊んでいる子供を見て、微笑ましく思った後に、可哀想と思うようになった。

 

僕が大人になったからだろうか。過去のことを考える時間が増えた気がする。今が充実していないわけじゃない。それなのに、あの頃は良かったと思うのは何か理由があるからだ。変わったのは僕だろうか、それとも見ている世界だろうか。

 

思い返すのは、小学校低学年の記憶。思い浮かぶのは、友達と遊んでいた記憶。その頃はポケモンルビサファをよくやっていた。通信ケーブルと攻略本を持っている友達は神だったし、通信バトルは負ける前にケーブルを抜くからいつも勝敗がつかなかった。点字の解読で攻略本とにらめっこなんてこともあった。他にも、山の中に秘密基地を作ったり、今では何をしていたのかよくわからないような遊びもしていた。思い返すと、とにかく友達と遊ぶのが一番の楽しみだったなぁと感じる。それはきっと今でも変わっていない。

昔はみんな無邪気で純粋な子供だった。澄んだ瞳を持っていて、見ている世界は鮮やかだった。自分をRPGの主人公のように思っていたし、見ている世界は冒険の舞台のようだった。いや、これは大袈裟だけど。いつからか澄んだ瞳は失って、視力矯正器具に頼らなきゃいけないくすんだ瞳になった。そこから見える世界はぼやけて見えて、自分はRPGの主人公なんかじゃなくて、社会の中の一つの歯車だと思うようになった。そうして歯車達は口を揃えて言う「あの頃は良かったなぁ」なんて。

 

 

大人になるにつれて少しずつ賢くなってきた。ズルや嘘を覚えながら、どんどん穢くなってきた。昔は同じ道を歩いていたはずなのに、どこから違う道を歩いていたんだろう。

 

きっと、これからも僕は穢れていく。外で遊んでいる子供も救えずに。